BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)
先日、彦根市内のとあるテナントビルを訪れた際、写真の様な掲示物が目に飛び込んできました。
皆さんはこれが何を意味しているかお判りでしょうか??
これは「BELS-建築物省エネルギー性能表示制度-」という、建物を使用する際の省エネルギー性をラベル化(見える化)した、エネルギー性能の証明書です。
住宅などの建物の省エネ性能を、星の数で表示してあります。(星の数が多いほど、省エネ性能が高い建物であることを示しています。)
普段の生活において比較的馴染みのある同類の例として、エアコンや冷蔵庫などの家電を購入する際の「省エネ性能☆☆☆☆」や、自家用車を購入する際の「燃費性能☆☆☆☆」といったラベルが挙げられます。
車や家電製品を購入する際、「価格が同じなら☆が多い方を購入しよう」だったり、「価格は少し高いけど光熱費やガソリン代が安くなる(又は環境に優しい)から☆が多い方を購入しよう」と言った具合に、購入判断の材料にされる方もいらっしゃると思います。
こういった指標を建築物(不動産)にも導入して、社会的に省エネルギー性能に優れた建物の市場価値に付加価値をつけようという目的で、BELSは2014年4月から運用が開始されています。
建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)の開始について(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/report/press/house04_hh_000505.html
運用開始からもうすぐ10年にもなろうというBELSですが、省エネルギー住宅に携わっている我々のような技術者にはある程度認知はされてはいるものの、世間一般の多くの方にとってこの制度はまだまだ馴染みのないものではないでしょうか。
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一方ドイツ(EU圏)では、同様のエネルギー性能証明書「Energy Performance Certificates(EPCs)」の運用はもう少し一般的に普及しています。
EU圏における住宅・建築部門のエネルギー消費の増加傾向に歯止めをかけるべく、2002年12月に施工された「Energy Performance of Building Directive “EPBD(欧州指令)”」において、
- 建物のエネルギー性能算定手法の採用
- エネルギー性能に対する費用最適基準の算定・報告
- 高効率省エネ技術の適用
- エネルギー性能証明書(Energy Performance Certificates)
などが制定され、省エネポテンシャルの大きい住宅・建築物の更なるエネルギー削減を目的とし、EU圏内における技術開発の促進、雇用創出、経済発展を目指し、各国が建物の省エネ基準強化に努めてきました。
このEPBDの施行により、公共建物はもちろん一般の大型建築物のエントランスにはエネルギー性能証明書が掲示されることになりました。
※ドイツ視察で訪れたベンツのミュージアムにもしっかり掲示されていました(↑↑↑)
また一般の住宅においても、建設時・売買時・賃貸借時などにエネルギー性能評価証書(EPCs)を策定することを求めており、2010年のEPBDの改訂以降は、居住者が購入や入居を検討する時点でも提示するよう求めています。
これは不動産を購入する契約の書類等に示すだけではなく、財産取引や売買・賃貸借時の広告などにもエネルギー性能評価証書を提示するよう求めているため、エンドユーザーが車や家電製品などと同様に、住宅の省エネ性能を見比べながら選択できる確かな指標として普及しています。
またEPCsの格付けのよい物件ほど、販売価格や賃貸価格が上昇するという結果も公表されており、住宅業界側のメリットにもなっているのです。
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現在の日本ではBELS等の住宅のエネルギー性能評価は、住宅新築時に補助金をもらうための資料のひとつという位置づけ程度になってしまっているのが実情で、まだまだ一般社会に普及しているとはいえない状況です。
日本のCO2排出量の1/7~1/8は住宅からのエネルギー消費によるもので、とても大きなエネルギーを消費しています。
住宅のエネルギー性能評価は、私たち住宅を提供する側として、少しでも省エネに貢献できる家づくりをするための指針であり、住宅のオーナー様側からは、今後も上がり続けるであろうエネルギー燃料費を少しでも抑えて豊かな暮らしを送るためのとても大事な指標になってくれることに間違いありません。
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この制度の普及活動の一環として、アーキトラストでは物件ごとにエネルギー性能評価をおこない、オーナー様へしっかりと説明をしながら住宅の設計提案を行っています。
家づくりを検討するときに、住宅の性能評価ありきで考えられるオーナー様が少しでも増えるように、BELSの情報が広まっていってほしいなと思っています。