米原市E様邸

米原市の高気密・高断熱住宅 夏期の室温と光熱費のリアルをお伝えします

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高気密・高断熱住宅の暮らし心地は?光熱費が安くなるのか?

建築業界全体において、住宅の高気密・高断熱化が進められています。その背景には、2025年度までに省エネや二酸化炭素の削減を目的とした新築住宅の省エネ基準適合を義務化、さらに2030年度までに新築住宅のZEH水準の省エネ性能確保という国の施策があります。

当社でも、高気密・高断熱住宅づくりに取り組んでいます。そこで、今回のコラムでは、2021年5月に竣工した米原市の高気密・高断熱住宅での、2024年6月~9月の夏期の光熱費データの実際を報告したいと思います。2024年の夏は全国的に記録的な暑さとなり、9月になってもその暑さが収まる気配がまったくありませんでした。そのような気候の中で高性能住宅で冷房機器の使用状況や室温、光熱費がどうだったのかをご覧ください。

一方で、高気密・高断熱住宅には省エネ以外にもいくつかのメリットがあるのですが、どうしても「省エネ」の陰に隠れがちです。しかし、私たちはどちらかというと省エネ以外のメリットの方を重要視しています。「快適さ」「健康面のメリット」「住宅の寿命」などです。これについて詳しくは、このコラムの最後にお伝えします。

UA値:0.36、延床面積41坪の住宅での計測データです

今回データを取得したお宅の概要は以下のとおりです。

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所在地:米原市某所
構造・広さ:木造2階建て 延べ床面積135.57㎡(41.00坪)
耐震等級:等級3
UA値:0.36
エアコン:1階床下に「床下エアコン」+2階小屋裏に「小屋裏エアコン」
     夏期は「小屋裏エアコン」を、冬期は「床下エアコン」を稼働
太陽光発電システム:有り( 4.3kW)
給湯熱源:エコキュート(ヒートポンプ式電気給湯器)
ガス使用:ガス調理器、ガス衣類乾燥機「乾太くん」有り

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4.3kW太陽光発電システムが設置されていますがオール電化ではなく、ガスを燃料とする調理器と洗濯乾燥機があります。また、ご家族構成はご夫婦とお子さま4人の6人家族。奥様は在宅勤務のため、日中も家にいることが多い生活スタイルです。

各月の光熱費をみる

それでは、各月の冷房の使用状況と光熱費をみてみましょう。

2024年6月

6月15日 小屋裏エアコン 日中に冷房運転を開始/夜間は停止
6月26日 小屋裏エアコン 除湿運転に変更
6月29日 小屋裏エアコン 冷房運転に再び変更

6月は真夏並みに暑い日もあれば、梅雨に入り肌寒くなる日もあり、設定温度をこまめに切り替えたり、冷房から除湿運転に切り替える日もありました。

ちなみに、6月26日の室内各部位の温度と湿度は以下の通りでした。全館でほぼ均一の温度/湿度といえます。

【6月26日 9時42分の温度/湿度】

玄関:温度25.9℃/湿度63%
ダイニング:温度26.1℃/湿度62%
主寝室:温度26.4℃/湿度61%
子供室:温度25.6℃/湿度62%
ウォーク・イン・クローゼット:温度25.7℃/湿度64%

【6月の光熱費】

上記のような冷房の使用状況において、電気料金は以下のようでした。

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※「デイタイム」とは平日10時~17時
※「リビングタイム」とは平日7時~10時および17時~23時と、休日扱い日の7時~23時
※「ナイトタイム」とは毎日23時~翌朝7時
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「デイタイム」は太陽光発電システムより発電した電力を自家消費するため、電力会社から供給を受ける電力は著しく減ります。

米原市E様邸電気使用量2024年6月

ガスコンロおよびガス衣類乾燥機の使用によるガスの使用量と請求料金は以下のとおりです。

使用量:5.10㎥  請求金額:3,906円

一方、太陽光発電システムによって発電した電力の売電収入は以下のとおりです。

売電量:589 kWh  売電収入:7,728円(7月に振り込まれた額)  

※ひと月の〆日がそれぞれ違うので、実際の6月1-30日の数字ではないです。
 よって、6月の光熱費は以下のとおりとなります。

電気料金:8,571円 + ガス料金:3,906円 ー 売電収入7,728円= 4,749円

2024年7月

7月4日 小屋裏エアコン 除湿運転に変更
7月7日 小屋裏エアコン 冷房運転に変更
7月14日 小屋裏エアコン 設定温度を1℃下げる

7月も初旬は梅雨の気候でしたが、日ごとに気温が高くなり、設定温度を下げるようになりました。

【7月19日 13時11分の温度/湿度】

玄関:温度27.8℃/湿度64%
ダイニング:温度27.4℃/湿度64%
主寝室:温度27.9℃/湿度64%
子供室:温度27.5℃/湿度63%
ウォーク・イン・クローゼット:温度27.2℃/湿度60%

【7月の光熱費】

上記のような冷房の使用状況において、電気料金は以下のようでした。
使用料は100kWh以上増えました。

米原市E様邸電気使用量2024年7月

ガスコンロおよびガス衣類乾燥機の使用によるガスの使用量と請求料金は以下のとおりです。

使用量:5.10㎥  請求金額:4,808円

一方、太陽光発電システムによって発電した電力の売電収入は以下のとおりです。

売電量:551kWh  売電収入:4,578円

よって、7月の光熱費は以下のとおりとなります。

電気料金:11,911円 + ガス料金:4808円 ー 売電収入4,578円 = 12,141円

2024年8月

8月5日   小屋裏エアコン 20℃に変更
8月17日  小屋裏エアコン 設定温度を1℃下げる
8月26日  小屋裏エアコン 設定温度をさらに1℃下げる
8月30日  小屋裏エアコン 設定温度をさらに1℃下げる

暑さが本格的になり、設定温度を3~4℃下げました。

ちなみに、8月9日の室内各部位の温度と湿度は以下の通りでした。6月のときと同様に全館でほぼ均一の快適な温度/湿度といえます。なお、26℃前半になると、お子さんが「寒い、おなかが冷える」と訴えるとのことで、26℃なかばを維持するよう、小屋裏エアコンの設定温度をこまめに調整されたそうです。

【8月9日 14時12分の温度/湿度】

玄関:温度27.4℃/湿度57%
ダイニング:温度26.6℃/湿度59%
主寝室:温度26.2℃/湿度60%
子供室:温度26.4℃/湿度58%
ウォーク・イン・クローゼット:温度27.2℃/湿度60%

【8月の光熱費】

上記のような冷房の使用状況において、電気料金は以下のようでした。
使用料は7月よりさらに80kWh近く増え、請求金額も2,000円ほどアップしました。

米原市E様邸電気使用量2024年8月

ガスコンロおよびガス衣類乾燥機の使用によるガスの使用量と請求料金は以下のとおりです。

使用量:5.20㎥  請求金額:4,876円

一方、太陽光発電システムによって発電した電力の売電収入は以下のとおりです。

売電量:672kWh  売電収入:7,959円

よって、8月の光熱費は以下のとおりとなります。

電気料金:13,929円 + ガス料金:4,876円 ー 売電収入7,959円= 10,846円

2024年9月

9月4日 小屋裏エアコン 設定温度を1℃上げる
9月13日 小屋裏エアコン 設定温度を2℃下げる
9月22日 小屋裏エアコン 送風運転に切り替え
10月1日 小屋裏エアコン 完全停止

まだ暑さは残るが、高断熱に外部の熱が室内に次第に伝わらなくなり、9月22日は冷房機能を停止し送風に切り替え、さらに10月1日にはエアコン自体を停止し、外気の通風で室温を調整するようになりました。

【9月の光熱費】

上記のような冷房の使用状況において、電気料金は以下のようでした。
エアコンの冷房機能を停止したこともあり、使用料は8月よりは使用料が25kWh減りましたが、7月よりは60kWh近く多かったのは意外でした。今年の9月の暑さが特別であったのかもしれません。

米原市E様邸電気使用量2024年9月

ガスコンロおよびガス衣類乾燥機の使用によるガスの使用量と請求料金は以下のとおりです。

使用量:5.70㎥  請求金額:5,046円

一方、太陽光発電システムによって発電した電力の売電収入は以下のとおりです。

売電量:566kWh  売電収入:5,880円

よって、89月の光熱費は以下のとおりとなります。

電気料金:13,929円 + ガス料金:5,046円 ー 売電収入5,880円= 13,095円

光熱費を比較してみる

今回調べた「米原の家」の光熱費を、総務省の家計調査 家計収支編「世帯人員別1世帯当たり1か月間の収入と支出」における4人世帯の光熱費(電気+ガス料金)平均と比較してみます。

2024年6月2024年7月2024年8月2024年9月
4人世帯の全国平均15,073円15,069円16,592円18,141円
米原の家 光熱費(売電収入を除く)12,477円16,719円18,805円18,975円
米原の家の光熱費(売電収入を含む)4,749円12,141円10,846円13,095円

上記の表のとおり、太陽光発電による売電収入を除くと、光熱費は全国平均とほぼ同じか、少し上回ります。ただし、全国平均は冷房の効率が良いマンションも含めた平均であることを加味する必要はあります(戸建て住宅のみだと光熱費は増えます)。また、「全国平均の家」はリビングや寝室など部分的な冷房の家が主なのに比べ、「米原の家」は全館空調をおこなっているという違いもあります。

ムラのない室温が快適さのポイント

さらに、米原の家の全館空調では、レポートしたとおり2024年6月~9月の夏期を通して26~27℃台、かつ部屋間の温度差を2℃以内に保ち快適に過ごせました。実はこの「全館をムラなく一定な室温に保つ」ことが快適に感じるポイントであり、それを実現するために、高気密・高断熱化や全館空調システムを導入すると知っていたければうれしいと考えます。

「住宅の省エネ化」は、快適な温熱環境を実現した結果、エネルギーの無駄が減ったという二次的な効果のイメージです。実際、私たちが住まいづくりをするにあたって、「省エネ」を第一の目標として設計や仕様決定をすることはありません。

社会的にも、近年になって高断熱・高気密住宅の省エネルギー面以外の特徴が注目されています。「Non-Energy Benefit(エネルギー削減以外の間接的な便益)」と呼ばれるもので、毎日の快適さや健康面でのメリット、さらに住宅の資産価値の維持のことを指します。住宅の高断熱・高気密化は省エネや二酸化炭素の削減に確かに貢献しますが、私たちもむしろ「Non-Energy Benefit」を理由に、お客様へ高断熱・高気密住宅をおすすめしていきたいと考えてます。

Non-Energy Benefitについては、次回のブログで詳しくご紹介します。

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