湖南市・J様邸 «project report» 2
~景色を繋げる、景色を取り込む~@LDK
ゼロ・エネルギー住宅(ZEH)の「湖南市・J様邸」のレポートその2です!
今回のお家のLDKは2階にレイアウトしています。
玄関ホールから廻り階段を上がると、左右(南北)約4m×12mの大空間のLDKが広がります。
その南側と北側には大きな窓を設けて、視界はさらにその奥まで延びるようにすることで、空間がより広く感じられます。
特に北側の窓向こうには、田畑や林、広い空が見渡せるという立地条件もポイントのひとつ。
こういった自然の要素を住まいの中に取り込むことで、毎日の生活がより豊かに感じられる仕組みになっています。
ここで疑問に思われた方がいらっしゃるかもしれません。
「高気密高断熱やパッシブハウスのお家なのに、外壁北面にこんなに大きな窓をつくって良いの?」
その疑問は確かに的を得ています。
・冬の日射取得を得るために南面は窓を広くする
・夏の日射を遮蔽するための適度な庇の設置する
・他面は熱を逃がさない様に、窓を小さくかつ少なくする
この鉄則を従順に守る事で、室内の温熱環境の快適さは(ある一定の断熱性を確保していれば)簡単に実現できます。
しかしながら私たち設計者は考えます。
北側に広がる素敵な景色は間違いなく毎日の生活空間を豊かにする。
北を閉ざすのか、北に拡げるのか、、、
拡げるでしょう!!!
我々は均質な住宅という「商品」を販売している訳ではありません。
お客様によって様々な住まいに対するリクエストがあり、計画地の立地状況ごとに多様な条件があり、そして我々設計者の家づくりの思想があります。
それらを全てミキサーにかけて整える、このお客様だけのための・この立地条件だからこその「正解」が何なのかを考え、導き出していきます。
今回の住まいの件でも、決して安直に「北側に大開口を設ける」という答えを導き出した訳ではなく、アーキトラストでの通常の設計作業の1過程である、
・外皮熱貫流率計算
・光熱費シミュレーション(エネルギーパス)
を行い、北側を閉ざした時と拡げた時のメリットデメリットを確認し、その差を小さくするための設計変更や仕様変更を検討しました。
窓近くで間違いなく発生する温度差気流に対しては、後述する「空調計画」において軽減策を採用し、最終的に「拡げるでしょう!!!」を導き出しました。