この週末は、アルフォンス・ミュシャ展を見に、守山市にある佐川美術館に行ってきました。
佐川美術館は、平山郁夫をはじめとする貴重な収蔵作品の常設展でも有名ですが、なんと言っても美術館そのものが建築的に素晴らしいのが魅力です。
琵琶湖をイメージした水庭に、浮かぶ様に佇む大きな切り妻屋根の建物は、エントランスへ向かう軒下のアプローチをはじめとして、水盤から反射した光が美術館の屋内外の壁や天井を照らすのも美しく、また風が無いときに建物が水庭に写り込む姿もすばらしいです。
大屋根の軒先には雨樋がないので、雨の日に水盤に落ちる雨水や水庭の波紋を楽しむこともできます。
職業柄、空間を構成する材料や施工方法にも目がいきますが、佐川美術館は建物の仕上げの殆どがコンクリート打っ放し。
コンクリートの型枠は通常ベニヤなどが使われ、つるっとした仕上がりになりますが、佐川美術館では杉板を型枠に使用し、木目がコンクリートに映った仕上げになっています。その精度の高さには感心しきりでした。
建築設計をする者としては、いたるところに設計の醍醐味が感じられる建物です。
佐川美術館の建築を堪能するなら、予約制で見学できる半地下の茶室も見逃せません。
…が、今回は時間がなかったので、茶室の見学はまたの機会となりました。(残念!)
アルフォンス・ミュシャはアール・ヌーヴォー様式を代表する画家で、それまで使い捨てだった商業用ポスターを芸術作品として昇華させた最初の人です。
草花など有機的な自然物をモチーフとした幾何学な文様や、流れるような曲線を多様した平面的で装飾的な構成が特徴で、細部まで注意深く仕上げられたデッサンや、やわらかい色調・精巧な装飾のタッチなど、その絵の魅力にはまっている人も多いのではないでしょうか。
今回の企画展は、パリ時代のポスターやリトグラフの名品を中心に、ミュシャの生涯とその思想の全容が展示してありました。
企画展の最終日とあって美術館は中々の混み具合でしたが、時間の許す限りゆっくりとミュシャの気品のある穏やかな美しさと、佐川美術館の建築の面白さに触れた、良い休日でした!
岸本